今日は、想像を遥かに超えた非常に特別な音源であるAugmented Orchestraの舞台裏での特別な体験を共有したいと思います。我々はこのハイブリッドオーケストラ音源をとても誇りに思い、その制作プロセスについて少し触れ、Augmented Orchestraをより活用いただくきっかけになれればと思います。
Augmented Orchestra は、一般的なオーケストラプロジェクトとして始めましたが、オーケストラ音源の用途は特定のジャンル、楽器セット、そして目的に限定されないことに気づきました。映画からゲームまで、現代のスコアリングには、様々なセットアップ、多層処理、シンセ、および巧みに録音されたアコースティック楽器をたくさん必要とします。我々の開発と創作的なプロセスを通して、現代のミュージシャンがオーケストラをどのように利用し、そして作曲家たちの要求を満たしつつ、人々が期待する以上のオーケストラライブラリーについて考え始めました。
もとより我々は、オーケストラの奏法は伝統的なものであれ、現代的なものであれ、いずれの収録も細心の注意を払う必要があると理解しています。スタッカート、マルカート、ユニゾン、サスティン、バルトーク、ハーモニクス、クラスター、ダブルタングなど、どれもそうでなければなりません。そして我々は、伝統的な交響楽、現代のアクション映画、またはチャートに入るポップソングを完璧に自宅で作成できる音源になることを望んでいました。さらに我々は、現代の作曲家がオーケストラを使用する方法を考慮し、作曲、音楽、そして音の実験をするための「ツールボックス」あるいは「サンドボックス」を想像し始めました。多様なオーケストラライブラリーとして始まったものは、すぐにその出発点から遥か、さらに遥かに発展していきました。
我々のチームは、まず、ハードウェアセットアップが期待通りに詳細な音響性能を捉えるための専用の場所、オーケストラの演奏のために特別設計された専用のホールをおさえました。そして、「演奏できる」楽器にするため、弦、金管、木管楽器の様々な奏法と響きをでき得る限り、汎用性を維持しながら個別に収録していきました。次に、様々な転回と音符構成でオーケストラフレーズとコードを収めていきました。最後に、不協和音やびっくりするような効果音のFXセクションをこのサウンドライブラリに用意しました。我々はこの音源で、ラヴェルのような説得力あるクラシック音楽を奏でられるのと同様に、弦楽器を用いてUFOの着陸音を生み出すことも望んでいました。市場に出回っている多くのオーケストラバーチャル音源では、「演奏可能な楽器」または「リズミカルなフレーズのコレクション」のどちらかがほとんどです。UVIチームは、Augmented Orchestraをそのどちらも網羅し、なおかつそれぞれが既存のもの以上であるべきと考え、可能な限り広範で汎用性の高い音源にすることを目指しました。Augmented Orchestraは、こうして革新的なものになりました。オーケストラ音源は何であるかを再考し…そして、このプロジェクトを始めた際に想像もしていなかった成果です。
62,000以上のノート、フレーズ、コード、効果音のサンプル収録後、音響的な可能性をさらに押し広げるために我々のチームは、それらに重ねるためのシンセレイヤーと後処理した音を加えました。様々なアンプ、ギターペダル、エフェクト、マイク、2つのレジェンダリーストリングスシンセを、アコースティックトーンとのレイヤーに配慮して、用意しました。テープオーケストラは、4トラックのカセットレコーダーを介して2つの異なる速度でサンプリングしました。最後に、オーケストラサウンドと一緒に使う、最大6台のビンテージシンセを重ねた「シンセスタック」を作りました。これらのシンセは、アナログからFMまでのものが用いられ、SSLのマスターチェーンを介してサンプリングしました。
そして62,000以上のサンプルは、450のレイヤーサウンドになり、さらに520のプリセットとなりました。これを実現するために我々は、エンジンを刷新しました。このエンジンは、Augmented Orchestraを念頭に置いて開発したため、Augmented Orchestraの操作は合理化され、これまで以上に多彩かつ扱いやすいものになりました!
Augmented Orchestraのための新エンジンは、最も幅広いサウンドデザイン範囲の可能性を提供するために、ゼロから特別設計しました。このエンジンのほとんどのパラメーターはマルチモジュレーションが可能で、エフェクトからシンセエンジンまで…Augmented Orchestraは、Falconなしでもこれまでのどの音源よりも、到達したことのないカスタマイズレベルを提供し、そして使いやすさも段違いです!
VCF-20フィルターやフィードバックマシンエフェクトなど、これまで、Falconのみを通じて、扱えていたものが、Augmented Orchestraに統合されています。また、高度なLFOやステップモジュレーターなどの高性能モジュレーションソースを利用することもできます。
Augmented Orchestraのプリセット音色デザインはとても楽しいものでした。そして重要な要素であるモジュレーションホイールの割り当ても、しっかり考えられています。多くのプリセットは、モジュレーションホイール操作をするだけで、高レベルの変化と奥深さに到達できます。指先1つで、ゴージャスな演奏や感動する響きを得られるように、鍵盤とアルペジエーターを組み合わせたプログラミングにも時間を費やしました。新しいサウンドレイヤーを加えたり、クロスフェードによるモーフィング、エフェクトモジュレーションまで、音色プリセットを通じて、新たな発見と刺激、体験が得られればと思い、UVIチームはこれをお届けします。いますぐ、Augmented Orchestraをご自身で探索しましょう!